佛跳牆

このページは、中国の食べ物を紹介していきます。

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更新日:
 2012年10月8日



◎佛跳牆(フォーティャオチャン)
 福建料理の伝統的な高級スープ。

 アワビ、フカヒレ、干し貝柱など、乾物を主体とする様々な高級食材を贅沢に使用し、数日かけて調理した中国伝統の高級スープです。料理名の「佛(フォー)」は「僧侶」、「跳(ティャオ)」は「跳ぶ」、「牆(チァン)」は「壁」という意味で、そのままでは「僧侶が壁を飛び越える」という意味です。
 佛跳牆は、陶器の壺の中に十数種類から数十種類の乾物を主体とする高級食材と水を入れ、数時間から数日掛けて煮込み、あるいは蒸し煮をして作られます。店によっても、また、予算によっても使われる食材や調理法が異なってくるため、必ずしも一定のレシピがある料理ではないようです。
 発祥地とされる中国福建省福州では、材料を入れた後、食材の香りを逃がさないように、壺に蓮の葉や薄紙で蓋をし、さらに陶器の蓋をして煮込みます。食卓に載せる直前に香り付けで入れる仕上げの酒は、蓮の葉などの蓋に小さな穴を開けて、そこから流し込み、少し蒸らせます。その後、食卓で蓋を取って食べます。
 「仏跳牆」という名前が最も古く登場するのは、宋の時代(960年〜1279年)の文献だそうですが、この料理名の由来には様々な説があるそうです。その1つは、この料理は様々な食材の旨みが凝縮しており、その香りは複雑でとても美味しそうなことから、精進料理しか食べられない僧侶であっても、壁を飛び越えてやってきて盗み食いするほどだ、というものです。
 また、お坊さんが戒律を守らないで、肉や様々な乾物などの食材を壷の中に入れ、とろ火で煮込んで、こっそり食べていたところ、人に知られるところとなり、そのお坊さんは怖れて壁を乗り越えて逃げ出したことから、その時の料理に、この名が付いたとする説があるようです。
 そのほかにも、清の時代(1644年〜1911年)に福州のある役人の家で、その上司の周蓮をもてなした時に作った御馳走だという説もあります。それは、鶏肉、アヒル肉、豚肉など、20数種の材料に、紹興酒を加えて壺で煮込んだ肉料理だったようですが、周蓮はこれを食べて非常に賞賛したそうです。そこで、この料理名を尋ねたところ、主人はこの料理は「良いことが思い通りに進み、幸福と長寿が共に揃う」と言う意味で「福寿全」という料理名だと答えたそうです。周蓮の料理人である鄭春発は、この料理を研究し、海産物の干物を加えるという改良を加えたそうです。その後、周蓮の家に来た客に鄭春発が改良した「福寿全」を出したところ、あまりの美味しさに感動し、同席していた文人が「壜啓葷香飄四鄰、佛聞棄禅跳墻來(壺を開けると肉の香りがあたりに漂い、仏も香りを嗅げば禅の道を棄て壁を飛び越えてやって来る)」と詩を詠んだそうです。そこで、この料理名に「仏跳墻」と名付けた、という説もあるようです。
 その後、鄭春発は独立し、1877年に福州市内に「聚春園菜館」という店を開いたそうです。この店で佛跳牆を出したところ、非常に繁盛したようです。そのため、この店に来た客が、まだ正式な料理名がなかった「佛跳牆」を食べ、あまりの美味しさに上述したような詩を読んで、それから「佛跳牆」と名付けられたという説もあるようです。聚春園菜館は、現在でも福建省福州にあります。
 「仏跳牆」という名前自体は宋の時代の文献にも載っていることから、鄭春発が改良した料理に初めて「仏跳牆」という名前が付けられた、という説明には無理があるように思います。ただ、もともと「仏跳牆」と呼ばれるような料理があったとしても、改良を加え、現在の「仏跳牆」(海産物の干物を加えるということがポイントのようですが)を作ったのは鄭春発ということで間違いないようです。
 佛跳牆は、福建省福州のほか、台湾や香港でも食べられます。台湾では、結婚式のお祝い料理として欠かせないそうです。福州では、元祖とされる聚春園菜館を始め、多くの高級レストランやホテルで、予約すれば食べる事ができるようです。
 台湾では直火で調理する福建式佛跳牆が作られていますが、香港では、広東スープの伝統手法のひとつである壺ごと蒸篭で蒸して熱を加える広東佛跳牆が一般的なようです。




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